株式会社新潟クボタ社長ブログ

平成23年度新潟経済同友会海外ミッションに参加して

6月26日(日)から7月1日(金)の4泊6日の日程で、新潟経済同友会の海外ミッションに参加してきました。視察先は、2009年に新潟市と姉妹都市になったフランス・ロワール州の州都ナント市です。ナント市はフランスでも最も長い「LRT(次世代型路面電車)」が走り、さらに約60の「BRT(専用レーン走行バス)」が市民の足として利用されるなど公共交通機関がとても発達していることで有名です。これに対し、新潟市は公共交通機関の利用率が5%にとどまり、市民の7割が車に依存する典型的な車社会。篠田市政の3期目の課題として公共交通機関の充実が挙げられていることから、ナント市の取り組み姿勢を学ぼうというのが今回のミッションの狙いです。参加されたメンバーです。

新潟空港から韓国ソウルにて乗継ぎ、フランスのシャルル・ドゴール空港へ。
長い1日を過ごし、翌朝、花の都パリからフランスの新幹線TGVに乗って、ナント市へ向かいました。

これがTGVです。
ナント市は、姉妹都市であるだけに新潟市と多くの共通点があります。?パリから新幹線で約2時間(新潟も東京から新幹線で約2時間) ?フランス一の大河ロワール川の河口に位置する古くからの港町(同じく新潟も日本一の大河信濃川河口の古くからの港町) ?豊かな農業地帯の真ん中にありながら機械産業などが発達し人口を多く抱える(新潟市約80万人、ナント市経済圏約58万人) ?おいしいワイン(新潟は地酒),魚介類などの食材に恵まれているーーなどです。

鱸の前菜に続いて、タラのソティーの料理です。
さて、主題の公共交通機関のことについてです。二日目の夕刻のナント市歓迎レセプション、我々を迎えていただいたナント市助役のカリーヌ・ダニエルさんは「ナントの最大の強みは公共交通です」と胸を張ってあいさつされていました。

左がダニエルさん、右が今回のミッションの団長を務められた佐藤・新潟経済同友会代表幹事です。

三日目は公共交通機関の視察です。これがLRT(次世代型路面電車)です。「トラム」と呼ばれ、東京の都電並みに数分おきにやってきて、多くの人を乗せて静かに走っていきます。もう一つの目玉が「バスウエー」と呼ばれるBRT(専用レーン走行バス)。

感心したのはそのシステム。チケット買って乗車するのですが、2時間券や24時間券などいくつか種類があり、24時間券でも4・2ユーロ(約480円)で、LRT,BRT,さらに水上バスまで乗り放題。さらにパーク・アンド・ライドが充実しており、各路線の最終駅の近くに約40か所の合計約7000台収容可能の駐車場があり、この公共交通機関の利用者は駐車代金が無料となる。

これが券売機です。

運営するのが「セミタン(ナント都市圏公共交通会社)」。営業担当のパスカル・ルロワ氏によると、2010年の運営費は約1億1000万ユーロ(約126億5000万円)。このうちチケットの販売収入は約4割で、残りの6400万ユーロ(約73億6000万円)は、行政が負担しているという。さらに、フランスには10人以上の雇用がある企業は人件費の0.6から2.0%を交通税として納める制度があり、ナント都市圏共同体はその上限の2.0%を徴収し、セミタンの負担金に充てている。

説明していただいたパスカル・ルロワ氏です。
街つくりのビジョンと、公共の負担とのあり方を改めて考えさせられる視察となりました。
もう一つ私が、注目したのが農業大国のフランスの実力です。食料自給率170%を誇るヨーロッパの食料基地。

小麦の刈取りシーズンを迎えていて、写真にうまく取れなかったのが残念ですが、大型コンバインでの刈取りと、大型ロールべーラーでの麦わらの収穫が見事でした。これを支えているのが、農業直接支払制度です。フランスの農家は国家公務員といわれるぐらいで、この点も国の在り方・国のかたちを再考させられます。
さらに、フランスの農業を支えているのがフランス人の旺盛な食欲。フランス人はパンを70センチ毎日食べるといわれ、ファストフードに押され最近はやや落ちたとはいえ、今でも確実に55センチは食べるという。それに対し、日本人はかつて年間120キロお米を食べたが、今は60キロ切ってしまった。この差は大きい。

観光も、ナントの特徴の一つ。

ナント市名物のラ・マシーン。機械仕掛けの像です。これがのっしのっしと歩く姿は圧巻です。
個人的に、ナントでうれしかったのが、剣道をする人たちに会えたこと。今ナントはじめフランスでは、日本の剣道がちょっとしたブームになっています。私も若いころは剣道少年で、我が国の剣道もグローバルしたものだとうれしくなりました。

三日目の午後にナント商工会議所の方との意見交換などを終え、ホテルに戻りました。
四日目は、ナントからパリに戻り、パリ市内で在仏日本商工会議所、JETOROパリの幹部の方々と意見交換してまいりました。最大の関心は、なんといっても3月11日発生した東日本大震災と原発事故です。

JETOROパリの佐藤次長さんです。
我々がフランスに行く直前に、フランスの検査で日本茶から放射性物質が検出されたことからいやが上でも大きな関心となっています。パリ市内で日本食レストランが700近くもあり、日本食や日本の食材は人気になっています。我々も輸出検査体制など安全基準を明確にするなど海外の人たちにより受け入れていただく体制つくりも喫緊の課題と思いました。

また、フランスは世界有数の原発大国。ドイツやイタリアの脱原発の動きが日本でも大きく報道されていますが、地続きのヨーロッパでは、ドイツやイタリアがフランスから電気を大量に輸入していることはあまり報道されません。ドイツやイタリアの脱原発は、フランスの原発に依存して初めて成立しているのです。フランスは原発をEUにおける自国のプレゼンスを高めるのに大切な手段と考えているようです。わたしたちももう少し落ち着いたら、いろいろな角度から、時間軸を区切って冷静に考えていくことも必要になるだろうと思われました。

最後を飾るのは花に囲まれたヴェルサイユ宮殿です。